蒔絵の最高技法が、高蒔絵。 塗面から高く肉上げされた紋様は立体感にみちて、武骨にならず、なお精緻流麗の極み。 豪華さはいやが上にも迫力を増して、持つ手に至福のひとときを与えてくれます。 高尚で優雅、風格と華やぎにみちみちた卓抜した技法を受け継ぐ名工の完成までに数十日を要する贅を尽した逸品です。
■吉野山 吉野山は古く(約1300年前)から山岳宗教密教の神山として知られていた。 その御神木として崇められ植木された桜の山は、平安時代に桜の名勝地として名が高く、当時の詩句や「古今和歌集」などに謳われ、高貴な硯箱などに蒔絵として描かれていた。 山桜をあしらった古典の代表的な図柄。
■尾長鳥 尾長鳥柄は、古く中国で鳳凰に象徴されていた。 日本では中国文化伝来の平安時代に独自の変化をとげ、想像上の鳳凰ではなく、存在する尾の長い鳥を吉兆鳥とみなし、公家や武家社会での優麗、高雅な有職文様として好んで使われた。
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